直接的で確実な検査は実際にその疑いの強いアレルギーを与えて発作が起こるかどうかためしてみる誘発試験(六一頁)です。
ところが場合によっては本当に発作になってしまうことがありますから、やはりこれは最後の決め手として行う検査でありましょう。
普通簡単によく行われるのは、血液を調べて、その物質に対する免疫グロプリンEグループの抗体が増えているかとうかを見る方法と、五五頁で述べたように皮膚に傷をつけてその物質をしみ込ませ皮膚が赤くなったり腫れたりする反応が出るかどうかを見る方法です。
類に限りがあります。
また、少し手のこんだ方法で測定するものですから費用がかかる欠点もあります。
皮膚テストは皮膚に傷をつけたり、皮膚に反応を起こさせたりするわけですから、あまり愉快な検査ではありませんけれども、手軽ですし、結果がすぐ分かる利点もあります。
皮膚テストが陽性に出ることと、それがアレルゲンとなっているかどうかということとの一致率は吸入アレルゲンの場合かなり良いといわれていますが、食物がアレルゲンの時はそれほどあてにできないようです。
ある物質にアレルギーを起こす人は、同時に他の物質によってもアレルギーを起こすことが多いものですから、狙ったアレルゲン一種類だけ調べるのではなく、可能性のありそうなもの何種類かを調べておくことが望まれます。
そうしないと特定の一種類のアレルゲンだけを考えて治療しても、他のアレルゲンが相変らず病気を起こすので一向に良くならないという落し穴におちいることになります。
どのアレルゲンをつけた傷の部分が反応を起こすかをみれば、どのアレルゲンに対する抗体をもっているか、すなわち、どのアレルゲンでアレルギー反応を起こす可能性があるかを知ることができるわけです。
強い反応が出た場合、そのアレルゲンが原因らしいことを強く示しますが、皮膚反応が出ても喘息の原因となっていないこともあります。
また、反応が出ないからといって原因でないときめてしまうわけにもいきません。
ただ、かなり参考になるテストであることは確かです。
血液の中の免疫グロプリンE抗体の量を測る方法も原因アレルゲンを知る上で大いに役立ちます。
抗体の量が多いか少ないかで五段階(O、―、2、3、4)に分けますが、3とか4とか抗体の非常に多い人ではそれに対応するアレルゲンが原因となっている可能性が強く考えられ気管支喘息の誘発試験は、アレルゲンを含む液を機械で霧状にして吸い込ませる方法をとります。
本当の発作が出てしまうといけませんから、最初は非常にうすい液を使います。
そして0機械で呼吸の状態を測nぺ気管支の収縮が起こったかどうかをみます・収縮が起きなければヽ12少しずつ濃いものを吸入させてみます。
気管支の収縮が起こったことが証明できれば、吸入させたアレルゲンが原因である可能性が高いことになります。
気管支が過敏なために、排ガス、マッチの煙、たばこの煙、線香の煙、冷たい空気などの刺激で発作を起こしてしまう人がいます。
気管支が過敏かどうかを調べるにも、誘発テストと同じような吸入による方法をとります。
この場合は、アレルゲンの代りにアセチルJリン、ヒスタミンといった気管支を刺激する化学物質をとかした液を霧状にして吸入させます。
普通の人では何ごとも起こさないごくうすいものの吸入で気管支の収縮がみとめられれば、過敏性があると判定されます。
誘発試験にしろ、過敏性試験にしろ、暗示がきいてしまう人がいます。
すなわち、これからアレルゲンを吸わせますよと予告すると、ただの水を吸わせるだけで気管支が収縮してしまうことがあります。
これらの検査には、そのようなことがあるのを承知した上で注意して行わなければなりません。
また、うすいアレルゲンや化学物質を吸入させるといっても、それによって本格的な発作が起こってしまうこともありますから、その時すぐに治療できる準備をしておくことも必要です。
くりかえし述べてきたように、精神的なストレスが発作の発生にかなり大きな比重を占めていることがあります・生活環境にそのようなことがないかどうか、それが本人の精神的負担になっていないかとうかを調べてみます。
精神的な原因でからだの病気が起こるといった方面を専門にしている心療内科の医師や、心身症を専門とする小児科の医師に検討してもらう必要があることも少なくありません。
次のような場合には精神的な面がかなり関与していることを予想させ、心理的な治療も必要なことを示しています。
たとえば、両親との死別や生別など家族構成に大きな変化が生じた頃に発病ないし悪化が見られた場合、下の子供が生まれ九時や入学・転校・就職などをきっかけとしている場合、新しい仕事、いやな仕事をしなければならなくなった時や逆に試験の後など緊張がとけた時に発作が出るような場合、アレルゲンとの接触と関係なく、決まった曜日、決まった時間二般に発作が出やすい夜半早朝を別にして)に発作を起こす場合、家に特別のアレルゲンが存在するとは考えにくいのに家にいると発作が起こり、外では起こさないような場合、発作止めの薬が手元にないことに気付き、不安になって発作を起こすような場合などです。
実際にはアレルゲンと接触していないのに、したと思っただけで発作が起こるような、暗示で発作が出る人も同様です。
アスピリン喘息の場合は解熱剤あるいは鎮痛剤を飲むと発作が起こるといった因果関係から原因を予想できますが、食品の着色剤や防腐剤などの原因には気がつきにくいものですから、そういうことがあるということを知った上で食事との関係を注意してみる必要があります。
ごく軽い発作の始まりのときには、腹式呼吸を十回ほどくりかえしたり、コップの水を二杯ほど飲むことでおさまる場合もあります。
しかし本格的な発作になってしまった時には薬を使って気管支の筋肉の収縮をとるようにしなければなりません。
飲み薬としては、気管支の筋肉の収縮をとる作用をもつものを使います。
副交感神経は収縮をもたらすのでその反対の作用をもつ交感神経刺激系の薬(エフェドリンは日本人の発見した薬で、昔はもっぱらこれが使われていました。
現在はアロテックーイノリンーイソパールP・トリンーブリカニールなど)及びテオフィリン系の薬(ネオフィリンーテオJリンーテオナなど)とを併用するのが普通です。
前者については吸入薬(アロテックーイノリンーペネトリンなど)もあります。
吸入薬を家庭で持っていて、発作の時にすぐ使うというのは大変便利ではありますけれども、使いすぎて中毒を起こすことがありますから、医師の指示通りに厳格な使い方をしないと危険です。
発作がなかなか止まらない時にはテオフィリンの静脈注射をしますが、この薬は効果が出る量と中毒を起こす量とが近いので、注射後血液をとってテオフィリンの量を時々調べ、効果が出るだけ十分与えられているか、中毒を起こすほど与えられすぎていないかのチェックが行われるようになりました。
同じ量を注射しても人によって効果の出かたが違うのでなおさらその必要性があります。
重症例には点滴注射によって、十分な水分の補給をします。
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